==靖国神社公式参拝になぜ反対するのか==


靖国神社は戦前の国家神道の中で造られた国家宗教の神社である。その当時はいわば国営神社であった。
国策と宗教を一体化し、他の価値観を締め出した思想統制の一環である。

国家神道体制は先の敗戦により、一応終焉を迎えた。
しかし、その頂点である「天皇制」は「象徴」という形で残されたし、靖国神社は民間の宗教法人という形にはなったが、形としてはほとんどそのまま残された。戦死者を祀る神社としては。

しかし改めて信仰の自由ということも打ち立てられた。
残念ながら、国家神道体制というものは敗れ去ったことを認めなければならない。

しかしそれを受け入れたくない、思想統制国家主義者たちがその復権をもくろんでいるのが、この天皇制強化であり、靖国神社の公営化や公式参拝である。

よく「国のために殉じた人々を記念したり祀ったりするのがなぜ悪い」と言われることがあるが、だとしたら、国家神道体制によらず、どの宗教の人も、無宗教の人も抵抗なく記念できる、国立の戦死者記念施設を造ればよいことである。
それをしないのは、特定の宗教観だけを押し付け、思想統制に用い、また国際貢献の名のもとに新たな「英霊」造りに用いたいだけのことである。

よく中国、韓国の反発を挙げる人たちもいるが、これは外国どうこうの話ではなく、日本の国のための日本国内の、日本人のための問題である。

これは首相どうのの問題でもなく、これが公的と言うことになれば、だとしたら大臣も、国会議員も、各地方でも、学校でも、会社でもということにつながるからである。
だとしたら、それは思想統制であり、国家神道であり、それ以外の考えや価値観を封じることになるからである。

一応、私的な法人として靖国神社が存在しているなら、そこに個人が参るのは自由である。いつでも自由に行かれたらよい。
しかし、個人ではない、国のために殉じた人を、国として、公的に、総理大臣として、天皇として、行くのだ、ということは、残念ながら、控えなければならない。

いつまでも特定の一時代の、特殊な国家観に囚われていてはならない。
普遍性をも合わせ持った世界に誇れる日本の国でありたい。



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==兵隊さんのおかげです?==(国防と軍事と平和について)


集団的自衛権の行使容認が議論されている。
国際情勢の変化ということはある。
しかし、
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
という憲法のもと、集団的自衛権ということばがどこまで容認されるのだろうか。
交戦権を認めないで、集団的自衛権の行使は認めると言うのだろうか。

結局は、何かすべて国を守るのは軍事力であり、武力以外で何が守れるか、と言い始めているようである。

遠く石油が守れるのも、仮想敵国を想定して危機感をあおり、自衛隊を海外に派遣するのも、すべて日本の国のため。
兵隊さんのおかげです、という国造りをしたいらしい。

そして、戦死者が出ることも想定して、「靖国神社」も公的にしたいのだろう。

「兵隊さんのおかげです」が全面に出るような、きな臭い国ではないことを願う。
多少愚直でも、「戦争放棄」「平和主義」をいたずらに拡大(縮小?)解釈せずに、「外交努力」「民間外交」に最大限努める国であり続けたい。
どんなことがあっても、「戦争」を起こしてはいけない。
戦争を起こさないために、戦争を起こせるようにしておくのだ、という力の論理を過信してはいけない。

(安倍さんが自ら先頭に立って兵隊に行ってくれるわけではないのだから!!)


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国土防衛という立場と、国際貢献という役割と、この2面性が必要とされることがよく議論される。

国土防衛という点からは、やはりいたずらに仮想敵国を想定し過ぎてはならない。中国がそして北朝鮮が日本を攻めて来るという話は現実的ではない。
日本の地理的要件もあるが、有史以来この海で囲まれた国が他国から侵略されたことはないのである。この国を侵略し、占領し続けるのは、未曾有の労力と勢力を必要とする。
国際的な批判と膨大な犠牲を越えて、この国を攻め入る国はない。
むしろいかに仲良くしていくことが得策であるか、訴え続けて行く必要がある。



次に国際貢献であるが、どこかの国の下請けでもなく、日本独自の働きとして、やはり非軍事ということを強く打ち出していってよい。「他国が血を流しているのに、自分だけが血を流さずにいくのか」と時に言われる。もし本当にそのことを非難する国があるとしたら、「ぜひそうしたい。あくまでも武力によらない国際間の協調」を訴え続けて行きたい。そして、それを実践していく国であり、国民であり、日本社会であることを一層強く打ち出す国際貢献をしていきたい。


日本の地理的特権を生かしながら、工業技術において、経済において、文化において、国際貢献を国是とする、国造りを目指したい。


<兵隊さんのおかげです、という国ではなく。
国境を地続きで接し、過去に歴史的に、何十回、何百回と侵略と被侵略を繰り返して来た国からは、すぐには理解を得られなくても!>

突き詰めて言えば、中国が、あるいは北朝鮮が、(おどし、すかしはあったとしても)日本を攻撃したり占領したりすることはない。それは歴史が証明している。有史以来2000年にわたってなかったのである。その事実は大きい。
調査、情報収集、偵察、いくつかの装備、それを軍隊と呼ぶなら、国境警備隊という意味で軍事力を保持することはあってよい。
その上で平和主義に徹することが大切です。国際貢献にもなります。自信をもって非軍事的な国際貢献をしたらよい。また平和主義を発信していったらよい。
米軍基地も縮小してよい。
日本の役割がある。